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AlmaLinux Day に参加して

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AlmaLinux は CloudLinuxチームによって開発されているフリーの Linux OS で、RHEL に ABI 互換でわることをうたっています。ラテン語で「魂」を意味する言葉にちなんで名付けられた AlmaLinux は、GitHub のページを通じてコミュニティの協力を得ながら開発が進められています。

※ 速報的に掲載しましたが、後日、写真も掲載して体裁を整えます。

Open Source Summit が 12 月 5 - 6 日の二日間、有明セントラルタワーホール & カンファレンスで開催されましたが [1]、平日の開催だったので参加できませんでした。

しかし同じ週の土曜日、同じく東京で AlmaLinux Day Tokyo 2023 が開催されるというアナウンスがあったので [2]、こちらは登録して参加してきました。

AlmaLinux Day Tokyo 2023

イベントの説明参加登録サイトの説明より引用)

「AlmaLinux Day Tokyo 2023」は世界初のAlmaLinux OS Foundation公式イベントです。

CentOS のメンテナンス終了がいよいよ最終フェーズとなってきている今、AlmaLinux OS は RHEL 互換 Linux の一つとして最も注目されています。

AlmaLinuxはコミュニティが所有および管理する永久無料のエンタープライズLinux ディストリビューションです。長期的な安定性に重点を置き、堅牢な商用レベルのプラットフォームを提供します。

本イベントでは、AlmaLinux OS Foundationのスピーカーが来日し、 Linuxに触れるすべての方に向けて、次期利用Linuxを選定する際に必要なLinux業界の動向から技術情報までご紹介します。

イベントの開催日時および場所は以下の通りです。

日  時2023 年 12 月 9 日(土)13:00 ~ 19:30
場  所株式会社インターネットイニシアティブ
東京都 千代田区 富士見 2-10-2 飯田橋グラン・ブルーム 13F セミナールーム 🌏
主  催The AlmaLinux OS Foundation
協  力サイバートラスト株式会社
株式会社インターネットイニシアティブ

当日のプログラムは以下の通りです。

Timeメ イ ン 会 場サ ブ 会 場
12:00 - 13:00受  付
13:00 - 13:40基調講演
benny Vasquez, AlmaLinux OS Foundation Chair
13:50 - 14:30The Real Backstory of the Enterprise Linux Community (エンタープライズ Linux コミュニティの本当の裏話)
Igor Seletskiy, CloudLinux Inc. CEO
14:40 - 15:20AlmaLinux コミュニティの日本での活動(仮)- 鈴木 庸陛, サイバートラスト株式会社
15:30 - 16:10AlmaLinux の ABI 互換 について
Andrew Lukoshko, AlmaLinux OS Architect
必見!実践ガイド著者登壇!
AlmaLinux on ARM サーバーインフラ最前線
古賀 政純, オープンソース・Linux テクノロジーエバンジェリスト
日本ヒューレット・パッカード合同会社
16:20 - 17:00AlmaLinux の SBOM について
Matthias Kruk, AlmaLinux Developer
Transitioning from CentOS 7 to AlmaLinux with Optimal Solutions
CentOS 7 から AlmaLinux へ!最適な移行ソリューションを徹底解説
加茂 智之, 株式会社デージーネット OSS研究室
17:00 - 17:30休  憩
17:30 - 19:30懇 親 会

所感

受付で、ビル内に入るゲートを通るためのQRコードと、ノベルティの AlmaLinux と入った黒の T シャツとボールペン、それと会場になったIIJの案内など関連冊子が三冊ほどを受けとりました。あと、セミナー会場で席につき開始を待っていたところ、AlmaLinux のシールが配られました。

受付 12:00 を 10 分ほど過ぎた会場は、ざっと150人程度収容できるセミナールームで、ぼちぼちと人が集まってきました。ざっくり数えて見たところ50人程度か…。

最初の基調講演が終わったころには、まあまあ席が埋まっており盛況といっても良さそうでした。

写真撮影は OK でしたが、無遠慮に撮ると肖像権にひっかかる可能性があるので、控えめに撮りました。

基調講演

(benny Vasquez - AlmaLinux OS Foundation Chair)

逐次通訳者は、かなり余分に話している部分がありましたが、流暢で判りやすかったです。

講演の内容は、なぜ AlmaLinux があるのかについて、CentOS の開発終了の話から始まったので、比較的あたりまえの話のように感じましたが、最初にある基調講演の内容がこうなるのは仕方がないことなのかもしれません。

AlmaLinux Foundation 設立までの動きをひととおり紹介して、Almalinux の特徴を次の三点とまとめていました。

  • 中立的な環境 → AlmaLinux 財団
  • コミュニティによる運営
  • だれでも利用できる

RHEL よりバグフィックスが早いことを示しているスライドがあったが、客観的な数値が示されていないのでそれが正しいのかはよくわかりませんでした。ただ AlmaLinux の利用者数が増えているということは理解できました。

RHEL との違いを尋ねられた質疑でも ABI 互換になったことによって、RHEL より早くセキュリティパッチを当てるのことが可能になったことを強調していました。

エンタープライズ Linux コミュニティの本当の裏話

(Igor Seletskiy - CloudLinux Inc. CEO)

こちらは RHEL の前の Red Hat Linux あたりから話が始まりました。

Red Hat Linxu 7.3 の成功あたりから Red Hat 社は Enterprise 向けのディストリビューションに集中することの検討をはじめ、その後の RHEL (Red Hat Enterprise Linux) へつづく話。

そして White Box Linux と cAos から生まれた CentOS は、小さなチーム(5人)始まった無料の RHEL 互換 OS を開発するプロジェクトでしたが、世界中に大変大きな影響を与えたと語られました。なんと、氏は CentOS のメンテナだったのです。

こんな小さなチームで活動を続けられるはずがなく、Red Hat 社に買収され、最終的に CentOS の開発を終えました。

これを受けて CentOS の創設者の一人が、Rocky Linux のプロジェクトを立ち上げましたが、一人で立ち上げたプロジェクトに過ぎません。

だから AlmaLinux の開発プロジェクトは、特定の人に依存しないように AlmaLinux 財団として立ち上げ、コミュニティで開発を進めるという形をとったんだと力説していました。

OpenELA 陣営に参加すべきか?については、IBM/RedHat 陣営との争うことが目的であれば、それは AlmaLinux の理念にはないことなので参加しないが、そうでなければ将来参加する可能性はあるということです。

OS として競合関係にあっても Red Hat 社と争うことを AlmaLinux は選ばないと、立ち位置を明確にしていました。

AlmaLinux コミュニティの日本での活動

(鈴木 庸陛 - サイバートラスト株式会社)

ビジネスの世界では RedHat お墨付きのあるクローンである CentOS を好んで利用してきたが、最後の CentOS7 もそろそろサポート終了。

サイバートラスト (Miracle Linux) は産業領域(組み込み領域を含む)が強い。AlmaLinux と組むことは、互いに得意な分野を補完できる関係になると考えている。ただし、ビジネスの部分と財団の活動は別として考えている。

Rocky Linux と AlmaLinux のマーケットシェアについて話があった。日本では AlmaLinux がやや優勢とのこと。

Red Hat 社が設けた制約 (regulation) を AlmaLinux は尊重する。対立はしないはしないということ。AlmaLinux のビルドは CentOS Stream をベースに取り組んでおり、これ(ABI 互換にすること)によって。Red Hat 社の影響から離れ、自力で RHEL 互換の OS の継続を可能にする、という話だった。

RHEL, Ubuntu, Oracle Linux 同様に AlmaLinux も FIPS140-3 を取得済み。

How to make a RHEL compatible distribution

(Andrew Lukoshko - AlmaLinux OS Architect and Release Engineering Lead)

どうやって RHEL 互換の OS を作っているのかというテクニカルな話でした。

従来は、RHEL のソースを持ってくるリポジトリは https://git.centos.org/でした。しかし、このレポジトリに新しいソースが入ってこなくなった。

選択肢はいくつかある。

  • Red Hat Universal Image (UBI)
    • 合法だが、RHEL 全体のソースの 40% ぐらいしかない。
  • CentOS Stream
    • 合法だが、RHEL 全体の一部のソースが入手できない。
    • 5 年で CentOS Stream は EOL になるので、その後のサポートが課題
  • 他の RHEL クローンのリポジトリ
    • 出自が明確でないので、使うのは慎重に!

rpm パッケージの差異を確認するために、pkgdiffというツールを使って確認している。

OS のビルドには https://build.almalinux.org/を使用している。

パッケージの ABI/API の機能の確認しは、pkg-ABIdiff というツールを使用している。

AlmaLinux は、セキュリティ勧告 (Security Advisory) に対応できるように取り組んでいるとのこと。

AlmaLinux は Secure Boot にも対応(詳細なメモを取りきれませんした。)。

AlmaLinux の SBOM について

(Matthias Kruk - AlmaLinux Developper, サイバートラスト株式会社)

下記に対応するために AlmaLinux の SBOM についての取り組みが紹介されましたが、単に SBOM の最低限の要求に対応するだけでなく、それを拡張してより有用な情報を持たせたいという話でした。

  • EO 14028: NTIA Minimum Elements (US)
  • Cyber Resilience Act (EU)

ただ、SBOM を発行するために AlmaLinux 側に Immutable な DB を作り、そこにアクセスしてユーザーが SBOM を発行するというありかたに、質疑が紛糾しました。このユーザとは誰を想定しているのか、まだあやふやだったからです。SBOM については曖昧な部分があり、今後の動向を注視する必要がありそうです。

参考サイト

  1. Open Source Summit Japan | Linux Foundation Events
  2. Announcing AlmaLinux Day Tokyo!
  3. CentOS Project shifts focus to CentOS Stream – Blog.CentOS.org [2020-12-08]
  4. CentOS Stream: Building an innovative future for enterprise Linux [2020-12-08]
  5. CentOS Stream:エンタープライズLinuxの革新的な未来を築く [2021-01-05]
  6. CentOS Stream のさらなる進化 [2023-06-21]
  7. AlmaLinux OS - Forever-Free Enterprise-Grade Operating System [2023-07-13]
  8. AlmaLinux、今後はRed Hat Enterprise LinuxのABI互換を目指すと発表。これまでの「バグまでRHEL互換」の路線を変更 - Publickey [2023-07-18]
  9. AlmaLinux、ソースコードの公開方針を変更したレッドハットとの関係に暗雲 - ZDNET Japan [2023-07-27]
  10. Keeping Open Source Open | Rocky Linux [2023-06-29]

 

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